【No. 18】ランニング大会に向けた調整方法|本番で力を出し切るために
【医療免責事項】
本記事の内容は、筆者個人の経験や一般的な情報に基づくものであり、医療行為や専門的な診断・治療の代わりとなるものではありません。体調に不安がある方や持病のある方は、自己判断で無理をせず、必ず医師などの専門家にご相談ください。
大会までの数ヶ月間、ストイックに走り込んできた皆さん、お疲れ様です。しかし、トレーニングの成果を100%発揮するためには、「本番直前の過ごし方」が最も重要です。いくら追い込んでも、疲労が抜けきっていなければタイムは伸びません。
この記事では、スポーツ科学に基づいた「テーパリング(調整)」の具体的な方法から、レース当日に最高のスタートを切るためのルーティン、そしてトラブル対応のメンタルセットまで、大会で自己ベストを狙うために必要な調整方法を徹底解説します。
1. 調整の科学「テーパリング」とは:疲労回復と超回復
テーパリングとは、大会の数週間前から意図的に練習量を減らし、疲労を抜いて体を「超回復」の状態に導く調整期間のことです。スポーツ科学の知見では、適切に行うことで持久力が平均3%向上が期待されると報告されています(条件により差あり)。
1-1. 練習量は減らすが、強度は維持する
テーパリング期間中は「休む」ことと「なまらせない」ことのバランスが重要です。
- 練習量の削減: 走行距離は、レース1週間前までにピーク時の50〜60%程度まで徐々に減らすことが一般的には推奨されています。
- 練習の頻度: 頻度は維持するか、わずかに減らす程度に留めます。完全に休む日が続くと、体が「なまって」しまうためです。
- スピード練習(質)の維持: 普段行っていたインターバル走やレペティション(疾走)などの高強度な練習は、距離を短縮しつつもレースペースに近い強度で数回行い、本番の感覚を体に馴染ませておきます。
【注意点】 レース直前で疲労を溜めるような新しい練習や過度な追い込みは絶対に避けましょう。それは調整ではなく、疲労の積み増しになってしまいます。
1-2. フルマラソンにおける標準的な調整スケジュール
フルマラソンの場合、一般的に3週間かけて調整を行います。
| レースまで | 走行距離の目安 | 練習の目的 |
|---|---|---|
| 3週間前 | ピーク時の70〜80% | 最後のロング走(20〜30km)を実施。 |
| 2週間前 | ピーク時の60〜70% | レースペースでの試走(10〜15km)を行い、フォームや感覚をチェック。 |
| 1週間前 | ピーク時の40〜50% | 刺激入れ(短い距離での疾走)と完全休養日の設定。 |
| 前日 | 1〜3kmのジョギング | 体を軽く動かし、緊張をほぐす程度に。 |
※ これはあくまで目安です。ハーフマラソンや短い距離のレースでは、調整期間は2週間程度に短縮されます。
2. レース直前の栄養戦略「カーボローディング」
レースで最高のパフォーマンスを発揮するには、燃料である筋グリコーゲンを最大限に蓄えておく必要があります。これがカーボローディングの目的です。
2-1. カーボローディングの正しい進め方
一般的には、レースの2〜3日前から行います。
- 炭水化物中心: ご飯、麺類(うどん、パスタ)、パン、餅、バナナ、芋類など、炭水化物を多めに摂取します。
- 脂質・食物繊維の制限: 脂質の多いもの(揚げ物、ラーメンなど)は消化に時間がかかり胃腸に負担をかけるため控えましょう。また、食物繊維が豊富な野菜や豆類は、便通が良くなりすぎてレース中に腹痛を引き起こす可能性があるため、摂取量を抑えます。
2-2. 前日の夕食と当日の朝食
前日の夕食は、炭水化物を中心としつつも、消化が良く、いつも食べ慣れているものを選択し、腹八分目を心がけましょう。緊張で食欲がない場合は無理せず、おにぎりやうどんなど軽めに済ませます。
当日の朝食は、レーススタートの3〜4時間前に済ませるのが鉄則です。
- 内容: 消化の良い炭水化物(餅、おにぎり、カステラ、バナナなど)。
- カフェイン: 普段コーヒーを飲んでいる人は、普段通りに摂取しても問題ありませんが、飲みすぎると利尿作用や腹痛を引き起こす可能性があるため、量には注意が必要です。
- 禁物: レース前のルーティンに新しいものを取り入れるのは絶対に避けてください。試したことのないエナジージェルやサプリメントは、胃腸トラブルの原因になります。
3. レース当日のシミュレーションとプランニング
3-1. 移動・動線のチェックと余計な疲労の排除
大会会場までの移動で、余計な体力やストレスを消耗しないようにしましょう。
- 前日入り: 大会が遠方の場合、長距離移動による脚のむくみや疲労を防ぐため、可能な限り前日入りしてください。海外や長時間の移動を伴う遠征大会では、時差や体の回復を考慮し、2日前到着が理想です。
- 当日の動線: 会場までのルート、荷物預け場所、スタートブロック、トイレ、ウォームアップスペースを事前に地図や会場図で確認し、迷わない動線を確保しておきます。
3-2. ウォームアップとトイレ戦略
レース直前のウォームアップは、体を温め、神経系を活性化させるためのものです。
- ダイナミックストレッチ: スタート30分前までに、ジョギングと合わせて動的ストレッチ(No.7参照)を中心に行い、筋肉を緩めるのではなく、動きやすくします。
- トイレ: 会場は非常に混雑します。早めに会場入りし、ウォームアップ中に数回済ませられるように逆算して行動しましょう。
3-3. タイムを狙う人のための「レースプランの3パターン」
レース中は何が起こるかわかりません。一つの計画に固執せず、複数のシナリオを用意しておくことで、心理的な余裕が生まれます。
- パターンA(良好な場合): 目標タイム達成に向けた理想的なイーブンペース。給水ポイント(No.8参照)での補給計画も厳密に設定。
- パターンB(普通の場合): 想定よりも風が強い、気温が高い、体調が7割程度など、少し苦しい状況。前半のペースを少し落とし、中盤は我慢し、後半の余力を残すプラン。
- パターンC(苦しくなった場合): 腹痛、脚の痛み、極度の疲労など、大きなトラブルが発生。完走を最優先し、ペースを大きく落として歩かず走り続けるためのプラン。エイドの休憩時間を長めに取る、次のエイドまではペース維持など、最低限の目標設定をしておきます。
※ 事前にコースの高低差や給水ポイントを把握し、ペースの上がりやすい前半の突っ込みを防ぐ意識を持つことが、後半の落ち込み対策に繋がります。
安全に走るための注意点(必ずご確認ください)
本記事は筆者の経験(一次情報)と一般的な情報をまとめたもので、個別の体調・既往歴・年齢・生活環境によって最適解は変わります。 運動を始める/負荷を上げる際は、無理をせず段階的に進めてください。
✅ 走り方の基本ルール(目安)
- 「きつい」と感じる日は距離や強度を下げ、休養を優先する
- 週あたりの走行距離・強度は急に増やさない(目安:段階的に調整)
- 痛みが出たら“我慢して継続”より、原因の切り分け(休養・フォーム・靴・疲労)を優先する
- 暑さ・寒さ・睡眠不足・飲酒後など、コンディションが悪い日は中止も選択肢
🛑 すぐ中止・受診を検討したいサイン(例)
- 胸の痛み/圧迫感、強い息苦しさ、めまい、失神感
- 関節や骨に鋭い痛みがある、痛みが数日以上続く、歩行に支障がある
- 発熱・感染症症状がある、体調不良が強い状態での運動
- 持病がある、服薬中で運動の可否に不安がある
※上記は一般的な例です。判断に迷う場合は、自己判断せず医師などの専門家に確認してください。
🧰 この記事の内容を試すときのおすすめ手順
- まずは「現状維持の距離」で1〜2週間、体調と疲労の反応を見る
- 問題がなければ、距離 or 強度のどちらか一方だけを少し調整する
- 痛み・睡眠・仕事ストレスが増えたら、調整を止めて回復を優先する
※「体重管理」「記録向上」など目的によって適切な設計は異なります。必要に応じて指導者・医療者の助言も活用してください。
4. 最高のコンディションを作る体調管理とメンタルセット
4-1. 睡眠の最優先:前日よりも「前々日」の睡眠が効く
大会前夜は緊張でなかなか眠れない人が多いです。しかし、睡眠不足が直接パフォーマンスに影響するのは「前々日の睡眠」です。
- レース前々日(金曜日夜など)に、いつもより1〜2時間早く寝て、良質な睡眠時間を確保しましょう。
- 前日(土曜日夜)に寝られなくても、「前々日にしっかり寝た」という事実が心の安定剤になり、過度な不安を取り除いてくれます。
4-2. 風邪・怪我の予防とメンタルの柔軟性
- 予防対策: レース1週間前からは、手洗い・うがいを徹底し、人混みを避けてマスクやアルコール消毒を活用します。
- 怪我のケア: 痛みや張りなどのコンディションアラートがあれば、迷わず練習をカットし、治療や静的ストレッチ(No.7参照)を優先してください。
メンタルセットとして、スタートからゴールまでの風景、給水のタイミング、目標達成後の感情などを具体的にシミュレーションしておきましょう。レース本番で想定外の事態が起きても、「準備した通り」に対応できるイメージトレーニングは非常に有効です。
まとめ:自信を持ってスタートラインに立つ
最高の調整とは、練習の負荷をコントロールし、栄養を十分に蓄え、そして何よりも「自信を持ってスタートラインに立つこと」に尽きます。
この繊細な調整期間を乗り越えれば、あなたは必ずトレーニングの全てを出し切ることができます。自信を持って、目標に向かって走り出しましょう!
レース直前の不安や調整方法をラン友と相談しよう!
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