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専門知識

【No.16 専門性】私がランナー諸氏におすすめする書籍3冊:哲学・科学・栄養学

📅 2025.12.05 👤 市民ランナー歴10年 運営者

【医療免責事項】

本記事の内容は、筆者個人の経験や一般的な情報に基づくものであり、医療行為や専門的な診断・治療の代わりとなるものではありません。体調に不安がある方や持病のある方は、自己判断で無理をせず、必ず医師などの専門家にご相談ください。

「ランニング」や「マラソン」という競技は、単なる体力勝負ではありません。実は極めて哲学的かつ科学的です。 苦痛への向き合い方、疲労の原因と解消、そして効率的なエネルギー運用。これらはすべて、あなたのパフォーマンスを左右する重要な要素です。

この記事では、ランニング中毒の運営者が、走りの概念を変えるオススメの3冊を厳選して紹介します。村上春樹氏の哲学から、ダニエルズ氏のトレーニング科学、八田教授の栄養学まで、あなたのランニングを次のレベルへ引き上げるための知識がここにあります。休足日にページをめくり、走るモチベーションをさらに高めましょう。

はじめに

「ランニング」や「マラソン」がテーマの情報でこの世の中は溢れている、そう思いませんか? Amazonで「ランニング」で書籍を検索すると…数え切れません。日本のランニング人口がいかに多いといえど、一番人気のあるスポーツでは決してありません。むしろ「しんどい」「根性論」「上下関係」などネガティブなワードと結びつきやすいスポーツです。不思議ですね。

でも、少しでも「ランニング」にのめり込んだことのある人は知っているんです、その避け難い魅力を。うまい空気を吸いながら、風を切って走る爽快感。フルマラソンを完走した時の達成感。ラン仲間との繋がり。汗をかいた後のビールの旨さ。

ランニング本まで書いちゃうような人は、この魅力に取り憑かれているのでしょうね。(もしくはもうランニングが嫌いで嫌いで仕方ないか)どうしてもその魅力を他の人にも伝えたくてたまらない。私もこんなブログを書いているのは、自分が作ったランマッチのサービスを世に広めるためでありつつも、その魅力に取り憑かれているからかも知れません。

さて、そんないつの間にかランニング中毒になってしまった私が、これまでに触れた書籍の中でランナーの皆さんにぜひおすすめしたい3冊を独断と偏見で紹介したいと思います。休足日にストレッチでもしながらぜひ手にとってページをめくってみてください。ますます走りたくなるかも知れません(笑)

1. ランニングの「哲学」を変える:『走ることについて語るときに僕の語ること』

『走ることについて語るときに僕の語ること』

著者: 村上春樹 / 出版: 文藝春秋

まずは1冊目。日本の偉大な小説家、村上春樹氏のこの本です。 会社の同僚のラン仲間から紹介いただいたのですが、あのちょっとユニークで一風変わった偉大な小説家が、私のような市民ランナーであるということが驚きでした。しかも、かなりの距離を、決して遅くはない、むしろ速いペースで走られていた(出版されたのは2007年)ようです。

とても羨ましいエピソードが満載なのですが、海外のアパートに住んで執筆活動を続けながら、その窓から見える川沿いのコースを毎日のように走ったり、世界的にも有名なフルマラソンのレースに出たり。彼が小説家になる前の意外なエピソードもあったりで、ランニングに興味のない村上春樹ファンでも楽しめるのではないかと思います。

私が一番記憶に残っている一節は、ランニングというスポーツの本質を見事に言い当てた英語の表現を紹介している部分なのですが、直訳すると「(ランニングは)痛みを避けることは出来ないが、苦しむかどうかは選択可能」、つまりは「痛みは感じてもそれを苦しいと感じるかはアナタ次第」ということでしょうか。なんとドMなんでしょうか。ランニングの魅力に取り憑かれているアナタは、頷きすぎて首がもげるかも知れませんね。

この一節は、ランニングにおけるメンタルと自己対話の重要性を鋭く示しています。長距離を走る上で、フィジカルな痛み(疲労、筋肉の張り)は避けられません。しかし、その痛みを「もう限界だ」「やめたい」という『苦しみ』として捉えるのか、それとも「これは成長のための必要なプロセスだ」という『試練』として受け入れるのかは、すべてランナー自身の意識に委ねられています。 特に「ゆるふわ勢」の佐藤さんのように「楽しく走りたい」というランナーにとって、この本は『楽しさの哲学』を提供してくれます。走ることは苦痛に耐えることではなく、自己の限界を丁寧に探り、「走ることの根源的な喜び」を見出す旅なのだと教えてくれるでしょう。

2. ランニングの「科学」を学ぶ:『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』

『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』

著者: ジャック・ダニエルズ / 出版: 大修館書店

次の1冊は、少し本格的に、しかも理論的にシステマチックにランニングに取り組む人のバイブルと言えるかも知れません。オリンピックコーチも務めたジャック・ダニエルズ氏による本書です。

このブログの中にも出てくる「Eペース」(Easy Pace: 楽なペース走)の「E」は実は彼が発案したものです。他にもMペース(マラソンペース)、Tペース(閾値ペース)、Iペース(インターバルペース)、Rペース(レペティションペース)など、いくつかのアルファベット1文字で表されるトレーニングの強度があります。私を含む多くの市民ランナーさんが実践しているトレーニングの計画も、彼の長年に渡るランナーそしてコーチとしての経験から編み出されたものを少なからず含んでいます。

ダニエルズ氏の提唱する理論の核は、VDOT(ブイ・ドット)という指標です。これは、ランナーの現在の走力(マラソン、5km、10kmなどのタイム)を基に、すべてのトレーニングペースを科学的に算出するものです。これにより、「一人だと最後の5kmでペースが落ちちゃう…」という高橋さんのようなサブ4を目指すランナーは、漫然とした練習から脱却し、「今日の練習はTペースを20分」といった明確な目的と強度を持ったトレーニングが可能になります。

もちろん、彼も本の中で述べていますが、彼の提唱しているやり方が全てのランナーに当てはまるわけではありません。背の高い人、そうでない人、痩せている人、そうでない人、熱意のある人、そうでない人、千差万別です。この本の使い方としては、まずはしっかりと読み込んで、自分の日々のトレーニングの中にまずは一つ取り込んでみて、その結果を振り返ってまた次のトレーニングへのフィードバックする、そんなサラリーマンの仕事の進め方のような読み進め方と実践がおすすめなんだろうと思います。そういう地味な作業に面白みを感じる人は、ランナーとしての適性が高く、ランニングの魅力に取り憑かれてしまうのでしょう。

「なんだ、熟練ランナー向けなのか、走り出したばかりの自分には向いてないな」と思われるかも知れませんが、決してそんなことはなく、いつまでも元気に楽しくランニングを楽しむための要素がたくさん盛り込まれていますので、一人でも多くのランナーさんが手にとって読まれるといいなと思います。

3. マラソンの「エネルギー戦略」を知る:『マラソンのエネルギーマネジメント』

『マラソンのエネルギーマネジメントー少ない糖をうまく使うために』

著者: 八田秀雄 / 出版: 講談社

最後の1冊は、「ランニング」という行為に必要な「栄養」がどう人間の体内に取り込まれて「エネルギー」に変換されるのか、という科学的な知識を、可能な限り分かりやすく解説した1冊になります。

著者は東京大学の名誉教授にして、かつては(今も?)ランナー。そう、そして箱根駅伝の大学連合チームの給水係として一躍有名人になってしまいました。テレビに大写しになった、両手をあげて大声で選手を鼓舞して送り出す白髪のおじさんが記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

これを読めば、当ブログの中で紹介した一部の内容がなぜ大切なのか、理解が深まると思います。過去には、強度の高い無酸素運動を実施して「乳酸がたまる」という表現で身体の疲労を意味していました(私も若い頃、サッカーに打ち込んでましたがよく「乳酸が〜」などと言ってましたね…)が、八田先生の違和感はそこからスタートし、研究の出発点になったそうです。

また、まさにタイトルにある通り、限られたエネルギーをいかにマラソンという特異な競技で使っていくか、ということが科学的に説明されています。人間は体内に貯蔵できる糖質に限界があるため、フルマラソンの後半、特に30kmの壁で失速する現象は、単なる根性論ではなく、エネルギー源の枯渇が原因であると科学的に説明されます。

ジェルなどを使った補給の本当の効果や、走る前にどのようにカーボローディング(糖質貯蔵)を行うべきか、その根拠が割と目から鱗の内容で盛りだくさんです。ジャック・ダニエルズの本のようにこれを読んで何かをすぐに実践できるような内容ではありませんし、30キロの壁がなくなる魔法のようなテクニックが書かれているわけではありません。

しかし、その根拠を知っているだけでも、日々の食事やレース前の準備に対する意識は大きく変わります。「なぜこの補給が必要なのか」という科学的な裏付けを持つことで、レース終盤の自己対話にも説得力を持たせることができます。これは、かなりランニングという魅力にどっぷりと浸かってしまった、私を含めた多くの市民ランナーさんが同意するところだと信じてます。

終わりに:知識と仲間が、走りを加速させる

他にももっと為になる本は探せばいくらでもあるかも知れません。でも、これだけは言えると思います。ランニングというスポーツにおいて、いや、どんなスポーツにおいても、上達する為の近道は「頭で考えて、自分に合った正しいトレーニングをする」ということに他ならないと思います。

正しい知識は、闇雲な努力を避け、最適な方向へ導くヒントです。そして、その知識を実践に移すためのモチベーションと強制力を提供してくれるのが、ランニング仲間です。

決して「誰でも簡単に速くなる」みたいなタイトルの本に飛びついて、結局遠回りになってしまわないことを祈ります。そのせいでそのスポーツを嫌いになってしまっては、元も子もありませんから。ランナーズマッチは、あなたが手に入れた正しい知識を、誰かと一緒に、楽しく、そしてストイックに実践するための場所として、これからもランナーの皆様を応援し続けます。

学んだことを、すぐに実践へ

ダニエルズ理論に基づいたTペース走や、リラックスできるEペース走など、あなたの目標に合った仲間をランナーズマッチで見つけましょう。

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