【No. 13 ロング走を成功させる補給食とペース管理のポイント】
【医療免責事項】
本記事の内容は、筆者個人の経験や一般的な情報に基づくものであり、医療行為や専門的な診断・治療の代わりとなるものではありません。体調に不安がある方や持病のある方は、自己判断で無理をせず、必ず医師などの専門家にご相談ください。
ロング走(20km〜40km)は、マラソンのシミュレーションであり、「脚を鍛える」だけでなく、「身体のエネルギー供給システム」を教育する場です。どんなに脚力があっても、エネルギーが枯渇すれば、誰もが経験する「30kmの壁」にぶつかります。
この記事では、ロング走を成功に導くための科学的な補給戦略と、最後まで失速しないためのペース管理術を解説します。適切な「予備燃料」と「ペース感覚」を身につけ、質の高いロング走を実現しましょう。
1. ロング走を完遂するためのエネルギー補給戦略
人体に貯蔵できるエネルギー源(グリコーゲン)は、フルマラソンを走り切るには不足しています。そのため、スタート前からレース中、そしてレース後まで、計画的な補給が必要です。
1-1. スタート前の予備燃料:カーボローディングの基本
ロング走で30km以上走る場合、前日の食事(カーボローディング)の意識が不可欠です。グリコーゲン貯蔵量を最大化するために、消化が良く、炭水化物(糖質)の多い食事を心がけます。
- おすすめ食品: ご飯、うどん、パスタ、バナナなど。
- 避けるもの: 脂質の多い食品、食物繊維の多い野菜(消化に時間がかかるため)。
また、スタート2〜3時間前には、おにぎりや菓子パンなど、軽めの炭水化物を摂取し、肝臓のグリコーゲンも満タンにしておきましょう。私のお気に入りはお餅です。
カーボローディングの基本的な考え方(脂肪とグリコーゲン消費の変遷イメージ)
1-2. 走行中の補給:タイミングと補給食の選び方
身体のグリコーゲンが枯渇し始める前に、外部から糖質を補充することが重要です。このタイミングは、「お腹が空いた」と感じる前に行うのが鉄則です。
⏱ 走行中の給水/補給の目安(経験に基づいた一次情報)
- エネルギー補給(ジェル・固形): 約45〜60分ごと、または7〜10kmごとに摂取。早めの補給を心がけます。
- 給水(電解質含む): 気温・湿度にもよりますが、15〜20分に一口水分をとることを習慣化します。喉の渇きを感じたら遅すぎます。
- 補給食の選択: ジェル(吸収が速い)、グミや固形補給食(満足感が得られる)、スポーツドリンク(炭水化物+電解質)を組み合わせます。特に、固形物はロング走で胃が受け付けるかを事前にテストしましょう。
補給食は必ず本番で使うものと同じものを用意し、ロング走で練習しておくことが重要です。胃腸のトラブルを防ぐためにも、試行錯誤が必要です。
1-3. 走後(アフター)のリカバリー補給
ロング走で疲弊した筋肉とエネルギーを回復させるには、「ゴールデンタイム」での補給が欠かせません。
- 炭水化物+たんぱく質: 運動後30分以内に、炭水化物(グリコーゲン補給)とたんぱく質(筋組織の修復)を摂取します。プロテインシェイクや牛乳、おにぎりと卵焼きなどの組み合わせが理想です。
- アイシングとストレッチ: 補給と同時に、怪我のリスク低減と疲労回復のため、アイシングや静的ストレッチ(No.7参照)を忘れずに行いましょう。
※補給や食事の最適解は、体格・体質・運動強度・既往歴などで変わります。 一般的なスポーツ栄養の考え方は、 HPSC(日本スポーツ振興センター)公開情報 も併せて参照してください。
2. 後半失速を防ぐペース管理のポイント
ロング走の目的は「速く走ること」ではなく、「設定した距離を走り切ること」と「長い時間、身体に負荷をかけること」です。ペース設定のミスは、補給戦略の失敗と並んで、失敗の大きな原因となります。
2-1. ベースペースは「ゆるジョグ〜イージーペース」で
ロング走で最もありがちなミスは、最初から「目標ペース」(例:サブ4のペース)で突っ込んでしまうことです。目標ペースに近い速さでロング走を行ってしまうと、脚と心臓への負荷が大きすぎて疲労が残り、翌日以降の練習に支障が出ます。
- 推奨ペース: 心拍数が上がりすぎない、「会話できるくらいの余裕があるペース(LSDペース)」を意識します。
- 目的: このペースで長く走り、脂肪をエネルギーとして利用する能力(No.4参照)を高めることに重点を置きます。
GPSウォッチ(No.10参照)で心拍数をチェックし、一定のゾーン内に収まっているかを確認しながら走ると良いでしょう。
2-2. 理想的なビルドアップとネガティブスプリット
ロング走に慣れてきたら、単調なペースではなく、後半に向けてペースを上げる「ビルドアップ型」を取り入れると、マラソン本番での粘りを養うトレーニングになります。
- ビルドアップ型: 最初の20kmをイージーペースで走り、後半の10〜15kmを徐々に目標レースペースに近づけていく。
- ネガティブスプリット: マラソンにおける理想的な走り方であり、「後半を前半より速いペースで走る」ことです。ロング走でこれを実践することで、疲労した状態からペースを上げるメンタルと脚力を養えます。
ペース配分をコントロールする能力は、タイム短縮(No.12参照)に不可欠なスキルです。
2-3. 距離より「体と相談」:柔軟な計画修正
ロング走は、天候、体調、前日の疲労など、様々な条件に左右されます。「今日は30km走る」と決めていても、25kmで強い倦怠感や膝の痛みを感じたら、迷わず距離を短縮する勇気を持ちましょう。
無理に走り切って怪我をすれば、数週間の練習が棒に振られます。長期的な練習計画(No.4参照)の中で、ロング走の目標は「体と相談」して柔軟に修正することが、安全かつ効果的に継続する秘訣です。
まとめ:ロング走を制する者は、マラソンを制する
ロング走は、ランナーとしての自信とスタミナを築く最高のトレーニングですが、同時に最もリスクの高い練習でもあります。成功の秘訣は、計画と準備です。
適切なカーボローディングで予備燃料を満載し、ラン中も定期的に補給食と水分を摂る。そして、前半は抑えめに、後半にビルドアップするペース管理術を身につける。これらのポイントを押さえれば、あなたは本番のレースで「30kmの壁」を笑って乗り越えられるはずです。
ロング走を支え合う仲間を見つけよう!
30kmの孤独なロング走はモチベーションの維持(No.11参照)が難しいもの。ペースや補給の悩みを共有し、共に走り切る仲間がいれば、トレーニングの質は格段に上がります。RunMatch.funで、あなたのロング走を支えるラン友を見つけませんか?
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